特に金融機関では、初任給の引き上げが目立つ動きです。
これまで大手銀行の初任給は20万円程度でしたが、25万円を超える水準になる見込みです。
この記事では、銀行員の初任給引き上げの背景と、金融機関が目指す今後の方針について解説します。
新入社員は給与がアップ!
大手銀行が初任給を引き上げる動きが相次いでいます。
みずほフィナンシャルグループは、2024年入社の大卒初任給を26万円にすると発表。りそな銀行や埼玉りそな銀行も25万5000円に引き上げ、三菱UFJ銀行も検討中です。
大和証券グループ本社も6月から新卒初任給を引き上げ、総合職は28万円、カスタマーサービス職は23万5000円になります。
保険業界でも住友生命保険が初任給を最大11.9%引き上げる予定です。
10年以上続いた大手銀行の初任給の横並びが崩れ始めた背景には、優秀な人材の確保と流出防止があります。終身雇用が前提だった時代と異なり、現在では銀行員の転職も珍しくありません。
金融機関はコンサルティング会社など他業界と競合し、特にデジタルスキルを持つ人材の獲得に力を入れています。
三菱UFJ銀行は、能力に応じた給与体系を導入しており、1年目から年収が1000万円以上になる可能性もあります。
自分は定年まで銀行で働き続けていいのか・・・?日本の銀行員に問いたい、定年まで銀行で働きますか?今回は退職するか悩んでいる銀行員に向けての記事です。銀行辞めたい銀行員は他に比べれば恵まれた職業です。収入は多いし、休みも多いで[…]

低下し続ける銀行人気
しかし、金融機関の就職人気は低下傾向にあり、処遇改善が急務となっています。初任給引き上げはその最もわかりやすい改善策で、現役社員の賃上げも検討されています。
例えば、三井住友銀行の従業員組合は、2023年の春季労使交渉で2.5%のベースアップ(ベア)を要求する案を固めました。会社側はベアと定期昇給、賞与増額、教育・研修など人的資本投資を合わせて、実質で7%の賃上げに相当する処遇改善を実施する方針です。初任給を5万円上げることに伴い、新卒と賃金の逆転が起きないよう、若手社員の賃金も引き上げられる予定です。
生命保険会社も処遇改善に動いています。日本生命保険は、販売の中核となる営業職員の賃金を2023年度に平均7%引き上げる予定です。第一生命保険は2023年4月から営業職員と内勤職の計5万人程度の賃金を、ベアと定期昇給を合わせて平均5%程度上げる方針です。
銀行では若手がどんどん退職しているため、人材確保が急務の状況です。
今回の記事は、地方銀行の将来性について考察してみます。新型コロナ感染拡大により、地方銀行の将来性はどうなるのでしょうか。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://keis-bar.com/s[…]
やっぱり年功序列の日本の銀行
ただし、優秀な人材を引き付けるためには、処遇改善だけでは十分ではありません。
金融機関の人事制度は従来、年功序列が強く、企業風土は保守的です。意欲や能力が高い若手や中堅社員の登用を促し、それに見合った給与を提供する人事制度で働く人のモチベーションを高める取り組みが重要となります。
現在の流れとしては、とりあえず初任給の引き上げをはじめとする処遇改善によって、優秀な人材の獲得と働く環境の改善を目指しています。
今後は、給与体系や人事制度の見直しを通じて、競争力のある働きやすい環境を整えることが求められるでしょう。
金融機関がこれらの取り組みを進めることで、業界全体の人材育成とビジネスの発展につながることが期待されます。
しかし、この手の話は随分と前から対策を求められていたことです。
それでも長い間、なにも変わらなかった日本の銀行が体質改善できるでしょうか?