銀行員の仕事はなくなる?窓口や外回りは今後不要?

2017年にメガバンクが約3万人規模の人員削減策を発表しました。40代以上を対象にした希望退職者の募集です。

また店舗削減の計画なども各行が相次いで打ち出しています。

出典:日本経済新聞 日経電子版:2019年5月20日付

出典:日本経済新聞 日経電子版:2020年5月12日付

退職者を募集したり、店舗を削減する理由は2つあります。

1つはコスト(固定費)を下げ、収益を確保するためです。

もう1つは銀行内の仕事が本当になくなっているからです。

銀行員の仕事は本当になくなるのでしょうか?

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銀行員の仕事とは

まず銀行員の仕事とはなんでしょうか。

銀行員の仕事は多岐に渡ります。

一言で表現すれば「金融に携わる」です。

金融とは文字通り「金を融通すること」です。

金を融通するとは、「お金が余ったところから、不足しているところにお金を回すこと」です。

そして銀行は金融業の一つの業態です。金を融通する業種や企業は、証券会社や保険会社をはじめ、クレジットなどの信販会社や消費者金融などもすべて金融業になります。

その金融業の中で銀行が担っている役割があります。次の3つです。

1.お金を預かる
2.お金を貸す
3.お金を代行して支払う・受け取る

銀行の仕事や、銀行員の仕事については関連記事にまとめております。参照ください。

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銀行員の仕事はなくなるのか

低金利政策の終わりも見えず、コロナ禍による景気の先行き不透明感も手伝って、銀行の収益力低下は歯止めがかかりません。

これまで金融庁は、ことあるごとに銀行に対してビジネスモデルの転換を要求していました。しかし、規制に縛られている銀行ではなかなか改革は進みませんでした。

ただ、菅総理が「地銀は数が多すぎる」と発言したことで、多くの地銀はビジネスモデルの転換を本気で考え始めたようです。

「ビジネスモデルを転換する」とは、「伝統的な銀行業務を見直す」ということです。つまり、

  • お金を預かる
  • お金を貸す
  • お金を代行して支払う・受け取る

これらの業務を1から見直すということです。

そのため「銀行員の仕事がなくなる」のではなく「銀行員の仕事を見直す」が適切な表現でしょう。

伝統的な銀行の店舗はなくなってきた

これまで銀行の店舗では、窓口・テラー業務を担当する人から個人や法人への営業人員、後方事務を支える方々まで、多くの行員を抱えてきました。

しかしデジタル化が進み、ネットバンキングを利用すれば店舗に行く必要はほとんどなくなりました。仮に銀行まで出向いたとしても、窓口ではなくATMを利用する客がほとんどです。

そのため窓口の来店客はどの銀行も減っているようです。

出典:日本経済新聞 日経電子版 2021年1月5日付より抜粋

出典:日本経済新聞 日経電子版 2021年1月7日付より抜粋

そのため、多くの銀行は伝統的な銀行の店舗、いわゆる「フルバンキング店舗」を「機能特化型店舗」に切り替えています。

機能特化型店舗とは次のような店舗です。

機能特化型店舗とは … 顧客層や地域特性に合わせ、資産運用や法人向け融資専用など、様々な機能に特化して営業を行う銀行の店舗

銀行の機能特化型店舗で仕事は変わるのか

銀行が機能特化型店舗に切り替えるメリットは、2つあります。
■事務の効率化
■マーケティング強化

銀行事務の効率化

機能特化型店舗にはこれまで各店舗が持っていた後方事務は基本的に不要です。

簡単な入出金や振込はATMやネットバンキングを利用してもらい、住所変更や諸届などの各種手続きも受付だけです。

これまで事務処理などを担っていた行員を事務センターに集約すれば、事務の効率化が図れます。

マーケティング強化

例えば、富裕層の多いエリアに位置する店舗や、高齢者世帯の多い住宅街にある店舗で、法人向け融資や個人向けローンを推進しても実績は上がりません。

これまで銀行はあまりマーケティングという観点から営業店を作ってきていません。基本的に店舗はすべての機能を兼ね揃えることが必要と考えていました。つまりマーケティングの視点が欠けていたのです。

本来であれば、小売店や飲食店などと同様、どのようなマーケットかを調査してから店舗を作るべきでした。しかし銀行は、ありとあらゆる個人と法人が顧客と考えていました。

その名残もあって立地やマーケットとは関係なくノルマが貼られてしまうという矛盾が銀行ではよくあります。

機能特化型店舗は銀行の貧弱なマーケテイングを見直すことが出来ます。

銀行の受付はタブレットが担う

銀行の窓口業務は、かつては花形の職業でした。しかし、今やその仕事はタブレット端末に取って代わられようとしています。

銀行に対する客の不満で一番多いのは「店頭での待ち時間」といわれています。

それを解決するため、店頭にタブレットを設置し、端末に入力した内容を銀行内のデータと連携させ待ち時間の短縮化に取り組みはじめました。また、手続きや申込書類をペーパーレス化し、面倒な手続きを簡素化しています。

特に時間がかかる相続などの手続きは、タブレット端末を利用して銀行の専門部署と繋ぎ、相談を受付するなどの取り組みも始めています。

顧客の利便性向上を図る目的で、店頭のデジタル化が急速に浸透し始めました。

また銀行にとっても事務が効率化し、ペーパーレスなどによるコスト削減も図れます。

窓口受付から銀行の手続きがスタートするという、従来の営業スタイルは過去のものになりつつあります。

出典:日本経済新聞 日経電子版 2019年1月16日付より抜粋

出典:日本経済新聞 日経電子版 2019年6月17日付より抜粋

銀行の中小企業向け融資も変化

また、これまでの中小企業などへの融資の取り組みも変わり始めています。

例えば、三菱UFJ銀行の「Biz LENDING」はオンラインで始める中小企業向けの事業性融資です。

三菱UFJ銀行をメインバンクとしている中小企業者が口座の明細などのデータをもとにAIによって審査されます。

だれもが利用できるわけではありませんが、顧客にとっては申込みから融資の実行までがオンラインで完結するので、スピード感もあり利便性も高いかもしれません。

銀行にとってはコスト削減にもつながるので、今後はこのような取り組みが各行で増えてくるのではないでしょうか。

Biz LENDING | 三菱UFJ銀行

オンラインで資金の借り入れができる、中小企業向けの新しい融資サービスです。三菱UFJ銀行を利用されている中小企業であれば…

銀行の店舗改革によって生まれた余剰人員はどうなるのか

しかし、機能特化型店舗やオンライン取引が拡大すれば、現在の銀行店舗で働いてる行員はどうなるのでしょうか。

事務効率化やデジタル化によって、仕事がなくなる行員は一定数います。ただ解雇は簡単に出来ません

そこで、店舗改革によって発生した余剰人員を新事業に充当しはじめています。

例えばコンサル会社などを拡充する動きです。

以前から、銀行にはコンサルティング機能が不足していると指摘はされていました。そこを強化する動きがあります。

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また、銀行は近年、新たな会社を次々と設立しています。その業務はこれまでの銀行業務とは全く違います。

行員にしてみれば、いきなり銀行業務と全く違う分野の仕事を任されることもあり、戸惑うこともあるでしょう。安定業種の銀行に就職したという人も多いでしょうから、全く銀行業務と違うことをさせられると、将来を不安に思う人もいるはずです。

しかし、考え方を変えれば銀行以外の仕事に挑戦する機会が増えているともいえます。

余剰人員ではなく、優秀な人材の有効活用と思えばいいのではないでしょうか。

出典:日本経済新聞 日経電子版 2020年4月2日付より抜粋

出典:日本経済新聞 日経電子版 2020年3月31日付より抜粋

銀行の従来型店舗や業務はすぐにはなくならない

ただ、いくらオンライン化を推進しても銀行の窓口を利用する客は一定数います

すべての店舗を機能特化型に変えたり、デジタル端末での取引を推し進めれば、日本国内で最も現預金資産を保有している高齢者層を取り逃がしてしまうかもしれません。

そのため従来型の店舗や業務が消えるとは思いません。

銀行の三大業務、

  • お金を預かる(預金)
  • お金を貸す(融資)
  • お金を代行して支払う・受け取る(為替)

これらが銀行の店舗から無くなることはないでしょう。

ただ、勘違いしてはいけないのは、これらの業務は店舗から無くなりませんが、銀行だけの特権というのは変わってくるでしょう。

つまり「預金・融資・為替」の業務を銀行以外に代替されることはある、ということです。

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銀行の三大業務は代替される可能性がある

いまや送金や振込、公共料金や税金の引き落としは銀行だけの業務ではありません。

コンビニに行けばバーコードで簡単に支払が済ませられます。またスマホを使えばキャッシュレスで簡単に送金などが出来るようになりました。

融資についてもクラウドファンディングなど、新たな資金調達の手段は発達し「銀行で資金調達する」という概念は崩れつつあります。

また、資金需要が減ったことで銀行の総預金残高は高止まりしており「カネ余り」の状態です。そのため、メガバンク3行すべて、今後は口座管理手数料を導入することにしました。

もし口座管理手数料が多くの銀行で導入され始めると、どんなことが起こっていくでしょうか。

銀行口座から電子マネーなど、別の決済口座に流れていく可能性もあります。

銀行の三大業務は時代に合った形に変化していくのは当然の運命なのでしょう。

 

出典:日本経済新聞 日経電子版 2021年1月22日付より抜粋

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銀行員の仕事は「なくなる」のではなく「変わる」

今後、銀行員の仕事は「なくなる」のではなく「変わる」というのが正解ではないでしょうか。

おそらく銀行でなければならないという業務は大幅に縮小していくでしょう。

しかし、それがイコール「銀行員の仕事がなくなる」のではありません。銀行員ではなく普通の会社員になる、と思えばいいだけです。

要は「銀行」という狭い枠を飛び出していけば良いのです。

金融庁も銀行に対する業務範囲規制を緩和する動きがあります。今後はもっと新しい事業を始めやすくなるのは間違いないでしょう。

ただ、重要なのはこれまで事務処理と判断ばかりしてきた銀行に商売が出来る人がいるのか?という点です。

多角化経営に重要なのは、資金や工場といったモノ・カネよりもヒトといわれます。

新たな事業を軌道に乗せる人材の確保が、銀行の未来を決めるかもしれません。

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