銀行では教えてくれないコンサルティング ー成長戦略ー

新聞やニュース等で「銀行がコンサルティングに注力していく」記事が増えてきました。

コンサルティングでは課題を把握することが最も重要です。

ただ取引先に課題解決の提案ができなければ意味がありません。

手数料も頂けません。

というか、もらったら駄目でしょう。

しかし「どうやって課題を解決すればいいのか?」と悩む銀行員は多いでしょう。

なぜなら銀行では「戦略論」や「フレームワーク」について学習をしないからです。

そこでコンサルティングに悩むあなたに課題解決に必要な経営戦略論を紹介します。

フレームワークなども紹介します。

次のような方が読めばの戦略の知識が深まります。

  • 新入行員
  • 経営戦略に興味がある方
  • コンサルティング営業を始める方
  • 取引先の経営課題を解決したいと考えている方

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経営戦略論 ー成長戦略ー

多くの取引先が課題として考えるのが「成長するためにはどうすればよいか?」ではないでしょうか。

「成長」の定義は様々です。

一般的には「売上」「利益」といったPLの数値や「企業価値」「株価」といった評価、「従業員数」「店舗数」などの規模を示すことが多いです。

何を「成長」とするかは、定義づけなので決めればいいだけです。

コンサルティングに自身がない銀行員でも、指標を決めて提案してあげればいいです。

ただ「どうやって成長すればいいのか」の問いに答えられる銀行員は少ないのではないでしょうか。

そのため今回は成長戦略を考える際に、何を学べばよいかをお伝えします。

成長戦略は文字通り「戦略」です。

つまり経営戦略の中に成長するための戦略を組み込みます。

経営戦略を検討する上で、フレームワークとして用いられるのが「成長戦略のマトリクス」です。

このマトリクスは経済学者のアンゾフが出版した「企業戦略論」の中で提唱されています。

アンゾフの成長戦略

アンゾフは、事業の成長には戦略が必だと訴え、製品やサービス・市場(マーケット)という視点から事業成長の分析を行う方法論として「成長戦略のマトリクス」を考えました。

作成方法は簡単です。

まずは「製品・サービス」と「市場」をそれぞれ「新規」か「既存」か分類します。

それぞれプロットしたら成長戦略のマトリクスが完成します。

マトリクスは成長戦略を考えるための一つのツールです。

将来の事業領域を検討する手法として、いまでも多く活用されています。

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成長戦略のマトリクス

それでは成長戦略のマトリクスについて簡単に説明します。

縦に「市場」、横に「製品・サービス」、それぞれ「既存」と「新規」に区分します。

これで4象限の下図のようなマトリクスが出来上がります。

成長戦略の主な手法

では4つの個別の戦略について解説します。

4つの戦略の内、取引先がどのような戦略を取るべきか、あるいは採用できる経営資源があるのか、などを考えます。

重要なのは取引先の実態把握をしたうえで考えることです。

1.市場浸透戦略とは

既存市場に、既存製品やサービスを販売する戦略を「市場浸透戦略」といいます。

この戦略は、既存事業をより深くアプローチしていくことになります。

そのため既存事業の経験やノウハウを活用しやすいためリスクは高くありません。

ようは、「既存事業の売上を上げる」ことに注力する戦略です。

この戦略の主な手法は次のとおりです。

■ 値引券の発行
■ セット販売
■ アフターフォローの充実 など

既存顧客の購入頻度や、リピート客を増やすといった「ボリューム」を追うための手法が必要です。

価格施策やサービスの充実がポイントになります。

2.新製品開発戦略とは

既存市場に新商品を提供して成長する戦略です。

商品やサービスの開発は研究施設や設備、知見のある従業員の雇用や採用など、新たな投資が必要になります。

そのため、1の市場浸透戦略よりもリスクは高くなります。

ただ全く新しい領域の商品やサービスではなく、既存のものを改善するのもこの戦略です。

簡単な例として、次のようなものが該当します。

■ 量やボリュームを変える(大盛り・小サイズ)
■ 味を変える(塩味→コンソメ味)
■ サービスを付加する(マッサージ付き)など

ポイントは続々と新商品やサービスを提供していくことです。

またニーズが高まれば定番化させていきます。

3.新市場開拓戦略とは

既存商品やサービスを新市場に進出していくことで成長する戦略です。

新市場には2つの考え方があります。

1. 新しいエリア(海外、他県など)
2. 新しいターゲット(男女、若者、高齢者など)

一つは国内市場から海外にも目を向ける、または地域限定商品を全国展開に変えるなど、新しいエリアを新市場と捉える考え方です。

もう一つは、男性用品を、ユニセックス商品として販売し、男女をターゲットに変える。

または若者向けのカラーやデザインを大人でも使いやすいものに変えるなど、新たなターゲットを新市場とする考え方です。

新市場開拓戦略は、一見簡単なようにも見えます。

ただ、これまでアプローチしていないゾーンに進出するので、ノウハウが無く失敗することも多いです。

また事業拡大が見込める市場への進出でなければ意味がありません

そのためにはきちんとしたマーケットリサーチが必要です。

4.多角化戦略とは

「多角化」とは、新市場に対して、新商品やサービスを開発・販売していく戦略です。

未知の領域に対して進出するため、4つの戦略の中で一番リスクの高い戦略です。

多角化戦略は成長戦略のマトリクスの中でも特に掘り下げて研究されてます。

多角化戦略は大きく4つに分類されます。

① 水平型
② 垂直型
③ 集中型
④ 集成型
順番に解説していきます。

① 水平型

既存事業と近い業種・業態で事業展開を図るのが水平型の多角化です。

既存の設備、またある程度の経験やノウハウを生かすことが可能です。

既存事業とのシナジー効果も高く、多角化戦略の中でも展開しやすい戦略です。

■ 乗用車メーカーが商用車も生産
■ 化粧品メーカーが美容サプリを開発
■ 酒造メーカーが清涼飲料水を生産

② 垂直型多角化 

サプライチェーンの川上(生産)や川下(販売)への拡大を図るのが垂直型の多角化です。

既存事業の調達先や販売先の事業に進出していくため、全く未知の領域ではなく、シナジー効果を得やすいメリットがあります。

■ ビール会社が直営の飲食業を始める
■ 自動車会社が部品製造会社を買収
■ スーパーが配送会社を設立

③ 集中型多角化

既存の製品・サービスや技術など、コア・コンピタンスを生かし事業の多角化を図ります。

経営資源を集中させ競争を優位に進める多角化戦略です。

技術やノウハウが蓄積されやすく、競合他社との差別化にもつながります

■ 家具の製造技術を活かして楽器を開発販売
■ モーター設備を活かして家電製品を開発販売

④ 集成型多角化

事業の一定の競争力を活かして、無関係な分野に参入する多角化戦略です。

企業の例でいうと、イオンやセブン&アイグループなどの小売業が銀行を持つ、といった戦略です。

③の集中型多角化とは異なり、コアな技術やノウハウを生かしにくい戦略です。

そのため既存事業とのシナジー効果の検証やリサーチが必要です。

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取引先は成長を期待しているのか

ここまで成長戦略について説明してきました。

少し理解が進んだでしょうか。

ただ、成長戦略で重要なことは取引先の実態把握です。

現状維持、もしくは事業縮小を考えている取引先に成長戦略を唱えても意味はありません。

何よりも大事なのは「成長したい」「成長させたい」という思いが互いにあるかです。

何度も言いますが、コンサルティングで重要なのは課題の把握です。

課題が「成長」と関係するのであれば、ぜひ成長戦略のマトリクスについて学習してみてください。

 


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