地方銀行のIT事情 今のままで地銀の将来性があるのか?

先日、金融庁が「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)を公表し、広く意見の募集を行いました。 

簡単にいうと、金融庁が銀行に対して「こうした方がいいぞ!」というものです。

まあ、金融庁の考えはコロコロ変わるので実際どうでもいいのですが、今回の改正案は少しだけ興味深いものでした。

なぜなら、これまであまり積極的に推進していなかった電子メール等の整備について言及したからです。

つまり地方銀行はこれまで電子メールを使っていなかったということです。

現状、銀行員が取引先とやり取りする手段は対面や電話に限られるケースが多い様子。

そのため金融庁は監督指針を改正し、通信手段の整備を促していく方針とのこと。

「せめて電子メールが使えるくらいにはしなさいよ」と伝達したのです。

今の時代、よくここまでメール無しでビジネスができるものだと感心しますね。

そこで今回は地方銀行のIT事情について考えていきます。

地方銀行のIT環境

昨年、地方銀行と信用金庫、信用組合などのIT環境を調べるため金融庁がアンケートを実施しました。

アンケートを集計した結果、9割の地域金融機関が営業担当者に個別のメールアドレスを設定していないことが判明しました。

この現状から、金融庁は営業担当者が私用の端末を使って外部と情報をやり取りし、情報が漏れるおそれがあると懸念しているとのこと。

今後は、地域金融機関の監督指針を改正し通信手段の整備を促していく方針だそうです。

出典:金融庁「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)(新旧対照表)

金融庁は何をいまさら言っているのか?

このニュースを見たときの感想は「いまさら?」です。

「外部メール禁止にしていたのは金融庁の指導ではなかったのか?」と思いました。

地方銀行が営業担当者に個別メールアドレスを付与しないのは、金融庁からのお達しとばかり思っていましたが、どうやら違っていたようです。

IT化が進んでいない銀行

最近の銀行はよく「DX推進」「IT化」を企業に提案してます。

一般企業の場合、コロナ禍において「非対面対応」や「オンライン化」の取り組みは避けて通れないので銀行の提案は当然でしょう。

しかし、その提案をしてくる銀行の現場に目を向けると、融資申込や契約などは、まだ対面が中心のようです。

取引先へのDX推進は積極的に提案する銀行ですが、実態は自分のところのIT化が遅れているようです。

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メールすら送れない

いまでは、企業の名刺にはメールアドレスの記載があるのが当たり前になっています。

しかし地銀や信金・信組などの大半の名刺にはメールアドレスが記載されていません

電話番号とFAX番号が記載されたものが大半です。

先日も、ある銀行から「資料を送ります」というのでメール受信を待っていたらFAXが送られてきました

しかもテスト送信の後に連絡が入り「届いていますか?」という確認の後にFAXが届きました。

もちろんセキュリティ上、必要なことでしょうから仕方がないとは思いますが、正直な話、

「いまどきFAXかよ!」

と思ってしまいました。

受け取る場合は、まだいいのですがこちらから銀行に送る場合はもっと厄介です。

地銀などはいまだにメールを受け取れません。名刺に記載されていないから当たり前ですが。

大容量の資料などはメールならZIPファイルで簡単に送れますが、FAXなら大量に印刷しないといけません。

FAXを送ってる途中に紙が詰まることもあります。

また、そもそも最近FAXを使用する機会も少ないので、操作をちゃんと覚えていません。

とにかく面倒なので地銀との資料のやり取りは本当に嫌です。

挙句の果てには、資料を面前で受け取りたい(そっちのほうが早いというのもあるようですが)とか言ってきます。

コロナ禍で人との接触を控えるように言われて相当経ちますが、地銀は時が止まっているのでしょうか

効率も悪いし、なんのメリットがあるのかよく分かりませんが、よく資料を取りに会社にやって来ます。

ただ、そのビジネススタイルを維持できる銀行という業種は逆にすごいとも思います。

IT技術が飛躍的に発展する中にあって、セキュリティや情報漏洩リスクの観点からデジタル化で遅れを取ってきた銀行業界。

コロナをきっかけにZoomでの会議などは日常になり、企業のIT化は急激に推進されましたが、銀行ではメールの利用すら十分に進んでいないというのはいかがなものでしょうか。

しかし、なぜ銀行はIT化が進まないのでしょう。

銀行業務はIT化するメリットがないのか

なぜ、地方の金融機関でIT化は進まないのか。

理由は3つあると考えます。

1. セキュリティの問題
2. 契約の問題
3. 高齢者対応

まずセキュリティ面の心配は当然あるでしょう。

しかし個人的な見解でいえば、FAXでのやり取りのほうがよっぽどセキュリティに問題がある気もします。

ここらへんは銀行の「新しいことは完全に安全性を確認して」という体質が理由でしょう。

つぎに契約上の問題があります。

銀行はとにかく「本人確認」にこだわります。

それ自体は間違っていません。

しかし問題は「本人確認は面前確認が原則」という点です。

また、地銀のメイン顧客層である高齢者などはオンラインに慣れていない、という点もIT化を遅らせている原因でしょう。

セキュリティ上の心配、契約の煩雑化、高齢者などからの反発などを考えると、IT化推進が正しい選択なのか迷う気持ちもわかります。

多額の投資によってIT化を果たしたとしても、地銀はメリットよりデメリットが多いと考えているのではないでしょうか。

銀行にIT推進する気はあるのか

「地銀のIT化」は今後進んでいくでしょうか。

個人的には中途半端なまま年月が経過していく気がします。

基本的に地方銀行では新しいことを積極的に取り組むよりも、横並びで「せーの!」で一斉にスタートさせる傾向にあります。

確実にメリットを享受できると判断できなければ推進されないので、今の状態が継続していく気がします。

最近は地銀が積極的にDX推進に取り組んでいるような記事が増えました。

しかし銀行の内情を知ってしまうと、とても本気に考えているとは思えません。

出典:日経新聞より

・地方銀行の経済記事にはDX(デジタルトランスフォーメーション)の言葉がよく出てくる。

地銀のITリテラシーが低いことはなんとなく理解していましたが、今のご時世で営業担当者にメールアドレスさえ付与されないようでは、あまり未来を感じません。

DX推進も第三者にお任せコースかなぁ、と思います。

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地銀は生き残れるのか?

コロナの事情もあり、顧客から銀行自体のIT化・オンライン取引を推進して欲しいという声は強まっています

地銀の多くはその必要性自体は認識しているはずです。

ただ、前述のように銀行にメリットがあるかどうかで判断しているため、なかなか進まないでしょう。

本来、顧客サービスを優先的に考えるのであれば、ニーズに応える仕組みにすべきですが、この考え方は銀行には通じません。

「変革」と「現状維持」。

銀行は間違いなく後者を選択します。

しかし、それで生き残れるのでしょうか。

特に地銀の場合は、生き残るためには「変革」を選択すべきと考えます。

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