日本政府は、個人の資産形成を後押しするために、資産所得倍増プランを策定することになりました。
現預金に滞留する個人マネーを活性化させるべく、NISA(少額投資非課税制度)の大幅な拡充や恒久化、そして金融教育の推進が主要な柱となっています。英米と比較すると、日本では金融教育がまだ始まったばかりで、多くの課題があります。
では、効果的な金融教育とは一体何でしょうか?
金融リテラシーが低い日本
金融広報中央委員会の調査によると、日本では金融知識に自信があると答えた人の割合がわずか12%ですが、米国では71%に達しています。
複利計算問題の正答率も、日本では43%であり、米国の72%と比較して低い水準です。
英国をはじめとする他の先進国でも、金融リテラシーの水準が日本より高いことが分かります。

金融教育の機会は限定的
英国では、3歳から5歳の子供たちがお金の単位や価格、お店での支払い方法などを学ぶ一方、日本では金融教育が中学生や高校生を対象に始まっています。
英国では、政府機関が無料で金融情報やアドバイスを提供する体制が整っており、個人の金融リテラシー向上が国家目標になっています。
日本でも、金融教育を国家戦略に位置づける動きが進んでいます。
しかし、教育現場には人員不足や投資に対する否定的なイメージを持つ教員も存在し、社会人になっても金融教育の機会は限られています。
日本の個人投資比率は、20年以上経ってもほぼ横ばいで、現預金に個人マネーが滞留しています。
また、金融機関が投資初心者に高リスクの商品を販売することでトラブルが増えています。
金融教育は国家戦略?
資産所得倍増プラン実現のため、日本政府は金融教育を国家戦略に格上げする提言が行われました。
金融教育は、貯蓄から資産形成への移行を促す動機づけとなると考えられています。
ただ、金融機関からの説明がセールストークが中心であるため、資産運用に本当に役立つアドバイスが得られるかどうかは不明瞭です。
日本は英米のように、国が主導して金融教育を推進し、国家戦略を描くべき時代に突入しています。
今後の取り組みとして、学校教育だけでなく、社会人向けの金融教育プログラムの充実が求められます。
また、中立的で信頼できる金融アドバイザー制度の創設が、個人の資産形成を後押しすることになるでしょう。
さらに、金融教育において、知識習得だけでなく、実践力を醸成することが重要です。
具体的な投資手法やリスク管理の方法を学ぶことで、個人が自らの資産運用に積極的に取り組むことができるようになります。
また、メディアや金融機関による金融情報の提供の質の向上も不可欠です。
消費者が適切な判断を下すためには、情報の透明性や信頼性が求められます。
このような取り組みを進めることで、日本の金融リテラシーが向上し、個人の資産形成が促進されることが期待されます。
銀行員こそ金融リテラシー向上を
結論として、日本の資産所得倍増プランは、金融教育の推進や資産運用に関する情報提供の質向上など、幅広い取り組みを通じて、個人の資産形成を後押ししようとしています。
国家戦略として金融教育を推進することで、日本の金融リテラシー向上が期待され、将来的には豊かな個人資産の形成に繋がるでしょう。
「とりあえず、投信・保険を売って手数料を稼げ!」といまだに言っているアホな銀行員も多いですが、無視しておきましょう。
銀行員こそ金融リテラシー向上を図って欲しいものです。
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