行動経済学とは?仕事に簡単に役立つ最強学問

大学の経済学部出身の方は多いと思いますが、経済学について理解している人はそれほど多くありません。

なぜ、理解している人が少ないかといえば、従来の経済学は現実と大きくずれていたからです。

そこで、現実に合うよう修正し変えたものが「行動経済学」という分野です。

今回は「行動経済学」を使った簡単な事例を紹介します。

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経済とは

経済学がテーマとする「経済」とはそもそも何でしょうか。

「経済」とは「生活に関連してお金を使うこと」です。

お金に対しての考え方は人によって違うはずですが、従来の経済学では一律に想定されています。

それを「合理的経済人(ホモエコノミクス)」といいます。

合理的経済人(ホモエコノミクス)とは
▶人は極めて知的で、強い自制心があり、自分の利益だけを考える
経済学は、こうした人間像を想定しています。
もちろん、こういう考えの人も現実社会にいますが全員ではありません。
人の考え方は千差万別で、行動パターンは一律ではありません。
これらを経済学では、人の個性や人の癖と考えていたので、想定外の行動や考え方は重要視されていませんでした。

現在バイアス

分かりやすい例が「現在バイアス」と呼ばれる、行動心理です。

現在バイアスとは
▶将来よりも今を重視する考え方
「現在バイアス」は多くの人が経験します。
例えば次のような事例です。
 
Kei
10年後の計画を立てましょう!
 
銀行員A
10年後なら、けっこう先。
色々な資格を取るぞ。
・・・9年11か月が経過。
 
 
Kei
あと1か月後で10年です。

銀行員A

仕事は忙しいし、休日も遊びたい。
まあ、仕方がないか。
今が大事だし。
 
 
よくあるケースだと思いますが、いかがでしょうか。
遠い将来なら、きちんと計画を立てられるけど、その日が近づいてくると目先のことにだけ集中してしまいませんか?
結局、先延ばしになって計画倒れに終わる、こういう経験をされる方は多いと思います。
「10年前の自分」と「今の自分」が下した意思決定にズレが出ます。
これは「現在バイアス」が働いているからです。
このズレが、行動経済学を活用する「ナッジ」で重要になってきます。

ナッジとは

人がつい取ってしまう意思決定のズレや歪みを、より良く変えようとする行動のことを「ナッジ」といいます。

「ナッジ」は依頼や強制によって、人にやらせるのではなく「背中を押す」ように誘導し、手助けしようとする考え方です。

依頼や強制は、金銭のインセンティブ(報酬)を伴うことが多いですが、「ナッジ」は、人の行動変容を引き起こすことが肝なので、インセンティブの発生を抑制させる効果があります。

ナッジとは
▶人に「やらせる」のではなく「背中を押す」ように誘導し、手助けしようとする考え方

ナッジを活用するのに覚えておくべきこと

「ナッジ」を活用するために重要なのは、相手を選ぶことです。

現在バイアスがある人は2つのタイプに分かれます。

目の前のことばかりを気にしてしまうのは危険だと分かっている人と、何も気づいていない人です。

銀行員A

目の前のことばかり気にしてしまう!
このままではやばいぞ・・・
 

銀行員B

目の前のことを、とりあえず
やっていけばいいや。
 
銀行員Aさんのように、目先のことにばかり目を奪われがちだと気付いている、自覚がある人を「ゾフィスティケイテッド」といいます。
銀行員Bさんのように、自覚が無い人を「ナイーフ」といいます。

ナッジが効く人を見極める

Bさんのような「ナイーフ」の人に、いくらナッジを活用して促しても動かすことはできません。

対してAさんのような人にはナッジが有効です。

Aさんは「今のことばかり気にかけてはダメだ」と分かっているので、背中を押してあげれば行動し始めます。

ナッジはお金をかけずに解決する手段

補助金などの金銭インセンティブに頼る政策には限界があります。

そこで期待されているのがナッジの活用です。

ナッジはより良い行動を選択するよう促し、手助けする手法です。

そこに金銭インセンティブは発生しません。

つまり「お金をかけずに課題解決する」ことが出来ます。

銀行で言えば、無駄な金利競争や手数料競争を避けることができるかもしれません。

取引先にいくつか提案してみてはいかがでしょうか。

簡単なナッジの事例

いくつかナッジを使ったコンサル手法をお伝えします。

取引先に仕掛けるツールとして使ってみてください。

「みんなやっています」

一番分かりやすい例は「みんなやっています」という言葉です。

人の意思決定に一番影響するのはどの言葉なのか?という実験があります。

  1. 未来の環境のために、電気のムダ遣いは止めよう
  2. よりよい社会のために、電気のムダ遣いは止めよう
  3. あなたの家の電気代節約のために、電気のムダ遣いは止めよう
  4. 周りの皆さんは、電気のムダ遣いはしていません

上の4つの設問をしたときに、実際に電気のムダ遣いをしなくなる割合で一番高いのは④です。

人は、未来のためでも、現在の社会のためでも、自分のためでもなく、周囲がやっていることを一番気にします。

人は意思決定の際に、世間や周りの評判を判断材料にしてしまいます

いくら自分が決めたことでも、他人からの評価を気にしない人はいません。

これを「バンドワゴン効果」といいます。

バンドワゴン効果
▶意思決定の際に、世間や周りの評判を判断材料にすること
「みんなやっていますよ」の一言が、取引先の背中を押すことは多々あります。
「あなただけやっていません」も同じく効果的です。

「ポイントがつく」より「もったいない」

人は損失を嫌います。

1万円儲けるよりも、1万円損する方が心に残ります。

この損失を回避する行動を利用するのも効果的です。

例えば次のようなセールストークではどちらが客は心を動かされるでしょうか。

 

銀行員A

いまならポイントがつきます。
 
 
Kei
せっかくポイントがつくのに、もったいないです。

 

両方とも同じことを言っていますが「もったいない」と言われる方が人は反応します。

損失回避の心理行動を利用するのもナッジの一つです。

もちろん、言うだけなら無料です。

取引先の経営改善にも使えるナッジ

銀行の営業トークにも使えますが、取引先の経営改善に活用させることも可能です。

事例をあげておきます。

私が担当する売上不振先の食品スーパーが販促費(広告宣伝費)を削っていました。

私はその企業に高提案しました。

「販促費は削らず、地域限定のチラシを出してください」と指導しました。

そのチラシには「あなたの近所の人に愛されてます」と「あなたは私たちスーパーのことを知らないだけです」という言葉を入れてもらいました。

すると売上はそのエリア内で倍以上伸びました。

心理学の応用 行動経済学でコンサル営業

簡単に行動経済学の活用を読んで頂きました。

他にも使える手法はたくさんあります。

皆さんもぜひ実践してみてください。

 

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