銀行員のコンサルティング営業 CFのタイプ別で提案を!

取引先の経営分析をした結果、適切な提案ができているでしょうか。

分析はしてみたけど、結局なにを提案すればいいの?と考える銀行員は多いのではないでしょうか。

今回の記事はCFの8つのタイプから、取引先にどのような提案をすべきかを簡単に説明します。

CFの8つのタイプについては関連記事を参照ください。

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銀行の本業は金融

取引先に対して提案する際に、銀行が提案できることを改めて考えてみます。

銀行の本業は「金融」です。

金融とは「余っているお金を集めて、不足しているところに融通する」ことです。

銀行の本業は「預金」と「融資」という業務を通してのお金の仲介です

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そのため銀行が取引先に対して提案できる最適解は金融ということになります。

儲からなくなった銀行は役務収益獲得へ

しかし、銀行も本業の金融だけでは儲からなくなってきました。

そのため銀行も金融以外の事業を模索しています。

ただ、銀行法の足かせもあるので、本業と全く違うことはできません。

そこで、最近は金融と結びつけるコンサルティング営業に力を入れ始めています。

コンサル業務は金融と関連付けることができ、役務収益(手数料収入)も期待できるからです。

ただし銀行とコンサルの役割は違います。

その点は関連記事を参照ください。

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取引先が銀行に期待するコンサルとは

取引先が銀行にコンサルティングを求めるケースは大きく2種類あります。

M&A(事業譲渡など)
経営改善計画 

M&A(事業譲渡など)

後継者不足による事業承継は日本の大きな課題です。

正常に事業をしているにも関わらず経営できる人材がいないため、廃業せざるを得ないといったケースは今後も多く起こるでしょう。

このような事業の継続に関するニーズの把握は銀行の得意分野です。

情報の非対称性という問題はありますが、銀行は情報の宝庫です。

情報を加工するノウハウとプラットフォームを会得すれば、M&A案件はどんどん生まれてくるでしょう。

M&A(事業譲渡など)

もう一つ、取引先が求める課題解決としては、これまで銀行が当たり前のように行っていた「経営改善の策定」があります。

ただ勘違いしていけないのは、融資を受けるための適当な改善策ではありません。

3~5年単位でどのように取引先を改善(成長)させるかを、財務・事業・人材組織などの面からサポートするということです。

これまで銀行は経営不振企業に対する改善は金融庁の指導などもあり、積極的に行ってきました。

しかしこの経営改善はそのような消極的なものではなく、取引先に持続可能な競争優位性を維持してもらうための提案でなければなりません。

経営改善の策定

銀行の本業である金融支援と、前述2種類のコンサル(M&A、経営改善)をどのような取引先に提案すればよいでしょうか。

まずはCFの組み合わせによって8つのタイプに分類します。

上記の内容については関連記事を参照ください。

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8つのタイプに分類後、どのような提案がよいかを考えます。

8つのタイプで提案内容を考える

金融支援とM&A、経営改善で考えれば、次表のような提案をしてみるのがよいと考えます。

CFタイプ別の提案

健全型は営業CFがプラスは本業でしっかりと利益を出し、投資CFがマイナスは設備投資などへの先行投資を行っているはずです。

安定的な成長が見込める取引先であり、積極的に投資への調達資金を提案すべきでしょう。

競合他行の金利や支払い条件などによっては借換資金の提案も有効です。

健全型へは先行投資を促す

財務CFがプラスの先であり、負債による資金調達を行ってまで、投資していることが推測される先です。

事業拡大を目指している取引先と考え、積極的な金融支援を提案しましょう。

また事業拡大の一環としてM&Aニーズの把握も有効です。

積極型には銀行も積極的な姿勢で

安定型はすべてのCFがプラス。つまり、万が一に備えて現預金を蓄えている可能性があります。

現状維持、あるいは将来のビジネスモデル転換などを見据えているかもしれませんが、CFからは何がしたいのかよく分かりません。

銀行としては一番何かを提案しにくい取引先です。

既存の借入金の借換などを提案する以外はニーズの把握に注力しましょう。

安定型は提案しにくい

財務CFがマイナスということは借入金など有利子負債を積極的に返済しているとうことです。

資産売却して負債を減らすというパターンは財務体質改善を図る先の特徴なので、事業を清算したいとも考えられます。

このような取引先はコンサル契約を取りやすいです。

営業CFがプラスなので、本業は儲かっている点が魅力的です。

M&Aの売り手企業として考えてみても面白いかもしれません。

この状態であれば高値で売却できる可能性は高いです。

改善型はコンサル契約を取りやすい

本業は儲かっていないという時点で銀行は二の足を踏んでしまいますが、将来の収益のために積極的な資金調達(財務CFプラス)と、先行投資(投資CFがマイナス)を行っています。

そのため銀行としては本業の金融支援をすべき相手です。

ただし、金融支援を行う上で重要なのは、その事業の将来性を見極めることです。

これは銀行が一番苦手とするところかもしれません。

ベンチャーはとにかく事業把握

負債の返済分を資産売却などによって補填している状況、要はリストラ中です。

リストラ型もベンチャー同様、事業の将来性を見極める必要があります。

もしビジネスモデルとして魅力的であれば、事業売却などM&Aの売り手企業として考えるのもいいかもしれません。

リストラ型は事業売却を促す

本業が儲からず、手元資金で負債を減らし投資までするということは、事業再構築を図っています。

事業の再構築がうまく進んでいるかどうか把握し、M&Aの提案をしてみましょう。

売り手にも買い手にもなり得る可能性があります。

事業見直し型はM&Aの売り手にも買い手にもなる

救済型は経営改善などによって再生する可能性もゼロではありません。

しかし、コンサル契約によって外部にキャッシュアウトするような提案が救済型に当てはまるのかどうかは意見が分かれるところです。

基本は事業の清算、M&Aの売り手として考えてあげるのがよいのではないでしょうか。

救済型は基本的に清算

今回取り上げた提案はあくまでもM&Aや経営改善のコンサル契約をベースに考えています。

銀行が提案できる手法は他にもたくさんあります。

ただ、全ての取引先に片っ端から色々な提案をするよりは、ターゲット先を決めて動く方が効率的です。

私が銀行員時代に見込み先リストを作成するときは、CFをタイプ別に分けて提案してました。

けっこう有効な手法なので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。


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